不感蒸泄とは?汗をかかなくても失われる水分

「今日は汗をかいていないから、水分はあまり失っていない」と思っていませんか。

実は、私たちは汗をかいていなくても、呼吸や皮膚から少しずつ水分を失っています。

このように、普段は意識しないまま失われる水分を「不感蒸泄」といいます。

不感蒸泄は、寝ている間や室内で静かに過ごしているときにも続いています。

そのため、水分補給は「汗をかいた日だけ」考えればよいものではありません。

今回は、不感蒸泄とは何か、呼吸や皮膚からどのように水分が失われるのか、水分補給や脱水との関係について解説します。

不感蒸泄とは?

不感蒸泄とは、呼吸や皮膚から、本人が意識しないうちに失われる水分のことです。

汗のように目に見えて流れ出るわけではありません。

そのため、普段は「水分を失っている」と感じにくいのが特徴です。

しかし、私たちは一日中呼吸をし、皮膚からも水分を蒸発させています。

体の水分量については、体の水分量はどのくらい?成人・子ども・高齢者の違いと水の役割で詳しく解説しています。

呼吸からも水分は失われている

私たちが吐く息には、水蒸気が含まれています。

寒い日に息が白く見えるのは、吐いた息に含まれる水蒸気が冷やされるためです。

呼吸をするたびに、少量ではありますが水分が体外へ出ています。

運動などで呼吸回数が増えれば、呼吸による水分損失も増える可能性があります。

つまり、汗をかいていなくても、呼吸しているだけで水分の出入りは続いています。

皮膚からも水分は蒸発する

皮膚からも、水分は少しずつ失われています。

これは、体温調節のために大量に出る汗とは別の水分損失です。

皮膚の表面からは、普段意識しない程度の水分が常に蒸発しています。

そのため、汗をかいている感覚がなくても、体から水分がまったく出ていないわけではありません。

不感蒸泄と汗は同じもの?

不感蒸泄と汗は、どちらも体から水分が失われる現象ですが、同じものではありません。

汗は、主に体温が上昇したときに汗腺から分泌されます。

一方、不感蒸泄は、呼吸や皮膚から日常的に起こる水分損失です。

汗については、汗の成分はほとんど水?発汗と水分・ミネラルの関係で詳しく解説しています。

寝ている間にも水分は失われる

睡眠中も、呼吸や皮膚からの水分損失は続いています。

さらに、暑い夜には寝汗をかくこともあります。

そのため、朝起きたときには、眠る前より体内の水分が減っていることがあります。

起床後の水分補給を習慣にする方法もあります。

日常の飲み方については、水分補給はいつ・どのくらい?1日に必要な水分量と飲むタイミングをご覧ください。

冬でも水分は失われる

水分補給というと、暑い夏をイメージしやすいでしょう。

しかし、不感蒸泄は一年を通して起こっています。

冬は汗をかいている感覚が少なく、水分補給を忘れやすくなることがあります。

さらに、暖房を使用した室内では空気が乾燥することもあります。

季節に関係なく、体では水分の摂取と排出が繰り返されています。

発熱すると水分を失いやすくなる

体温が上がると、水分を失う量が増えることがあります。

発熱時には、皮膚や呼吸からの水分損失が増える場合があります。

さらに、食欲の低下などによって飲み物や食事から摂る水分量が減ることもあります。

失う水分が増え、摂る水分が減れば、水分不足が進みやすくなります。

この状態が続けば、脱水につながる可能性があります。

高齢者は不感蒸泄にも注意

高齢者では、若い成人より体に占める水分の割合が少なくなる傾向があります。

さらに、喉の渇きを感じにくくなる場合もあります。

そのため、汗をかいていなくても、呼吸や皮膚から失われる水分を含めて考えることが大切です。

特に暑い日や発熱時、食事量が減っているときには注意しましょう。

詳しくは、高齢者はなぜ脱水しやすい?体の水分量と水分補給で解説します。

不感蒸泄と喉の渇き

呼吸や皮膚から水分を失い続けると、体内の水分状態にも変化が起こります。

その変化を体が感知すると、喉の渇きを感じることがあります。

喉の渇きは、水分補給を促す仕組みの一つです。

ただし、喉の渇きの感じ方には個人差があります。

詳しくは、喉が渇くのはなぜ?口渇と水分調節の仕組みをご覧ください。

腎臓が水分の排出量を調節する

呼吸や皮膚からの水分損失を完全に止めることはできません。

そこで体は、尿として出す水分量などを調節しながら、水分状態を保っています。

その重要な役割を担う臓器の一つが腎臓です。

水分が不足すると、体は尿として失う水分を減らす方向に働きます。

詳しくは、腎臓は水分をどう調節する?尿と体内の水分バランスで解説しています。

尿・汗・呼吸・皮膚から水分は失われる

体から水分が出ていく経路は、一つではありません。

尿、便、汗、呼吸、皮膚などから水分は失われています。

尿については、尿の色や量で水分不足はわかる?尿と水分の関係で詳しく解説しています。

こうしたさまざまな水分損失に対して、飲み物や食事から水分を取り入れることで、体内の水分バランスが保たれています。

不感蒸泄も含めて水分補給を考えよう

水分補給を考えるとき、汗をかいた量だけを見るのでは十分ではありません。

私たちは、汗をかいていなくても呼吸や皮膚から水分を失っています。

さらに、尿や便としても毎日水分を排出しています。

体では、一日を通して水分の摂取と排出が繰り返されています。

その日の気温、活動量、食事、体調などを見ながら、必要な水分を補うことが大切です。

特に暑い季節には、環境省もこまめな水分・塩分補給などの熱中症予防を呼びかけています。

詳しくは、環境省の熱中症予防情報サイトも参考にしてください。

※本記事は、不感蒸泄と水分補給に関する一般的な情報の提供を目的としています。発熱、下痢、嘔吐などが続く場合や、水分を十分に摂れない場合は医療機関へご相談ください。


左 35歳 右 50歳

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