高齢者はなぜ脱水しやすい?体の水分量と水分補給

高齢者は、若い人に比べて脱水になりやすいといわれています。

暑い夏だけでなく、冬や室内で過ごしているときにも注意が必要です。

「汗をかいていないから大丈夫」「喉が渇いていないから水分は足りている」とは限りません。

加齢によって体に占める水分の割合が変化するほか、喉の渇きの感じ方や腎臓による水分調節などにも変化がみられます。

さらに、食事量や飲水量の減少、発熱、下痢などが重なると、水分不足が進みやすくなります。

今回は、高齢者が脱水しやすい理由と体の水分量、水分補給で知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

高齢者が脱水しやすいのはなぜ?

高齢者が脱水しやすい背景には、一つではなく複数の要因があります。

加齢に伴い、体に占める水分の割合は若い成人より少なくなる傾向があります。

また、喉の渇きを感じにくくなることがあります。

食事量が少なくなれば、食事から摂取する水分も減ります。

さらに、体調不良や暑い環境などが重なることで、摂取する水分と失われる水分のバランスが崩れる場合があります。

高齢者の脱水を考えるときは、こうした要因を総合的に見ることが大切です。

年齢によって体の水分量は変わる

私たちの体の大部分は水分で構成されています。

しかし、体に占める水分の割合は年齢によって同じではありません。

一般に、乳幼児では体水分の割合が高く、成人、高齢者になるにつれて低くなる傾向があります。

また、体水分率は体組成などによっても異なります。

高齢者では体内に保持されている水分量が相対的に少ないため、水分を失ったときの影響に注意が必要です。

年齢と体水分量については、体の水分量はどのくらい?成人・子ども・高齢者の違いと水の役割で詳しく解説しています。

高齢者は喉の渇きを感じにくくなることがある

体内の水分状態が変化すると、私たちは喉の渇きを感じます。

これは、水分補給を促すための重要な仕組みです。

しかし、高齢になると喉の渇きを感じにくくなることがあります。

そのため、体が水分を必要としていても、本人が強い渇きを自覚しない場合があります。

「喉が渇いたら飲む」だけでは、状況によって水分補給が追いつかないことも考えられます。

喉の渇きについては、喉が渇くのはなぜ?口渇と水分調節の仕組みをご覧ください。

食事量が減ると水分摂取量も減りやすい

私たちは、飲み物だけから水分を摂っているわけではありません。

ご飯、汁物、野菜、果物など、日々の食事にも水分が含まれています。

そのため、食欲が低下して食事量が減ると、食事から摂取する水分量も少なくなります。

飲み物をほとんど飲まないうえに食事量も少ない場合には、全体として摂取する水分が不足しやすくなります。

水分補給を考えるときは、飲水量だけでなく食事から摂っている水分も含めて考えることが大切です。

腎臓による水分調節も関係する

体内の水分状態を調節する重要な臓器の一つが腎臓です。

腎臓は血液をろ過し、必要な水分や物質を再吸収しながら尿を作ります。

体内の水分が不足すると、尿として失う水分を減らす方向に調節されます。

一方で、加齢に伴って腎臓の機能や水分・電解質を調節する能力にも変化が生じます。

体水分量や喉の渇きだけでなく、こうした水分調節機能の変化も高齢者の水分管理を考えるうえで重要です。

詳しくは、腎臓は水分をどう調節する?尿と体内の水分バランスで解説しています。

トイレを気にして水分を控えることも

「夜中にトイレへ行きたくない」「外出先でトイレが心配」といった理由から、飲み物を控える方もいます。

しかし、必要以上に水分摂取を減らせば、体に入ってくる水分も少なくなります。

尿量や排尿回数には、水分摂取以外にもさまざまな要因が関係します。

水分を極端に制限するのではなく、気になる排尿症状がある場合には医療機関へ相談することも大切です。

尿と水分については、尿の色や量で水分不足はわかる?尿と水分の関係で詳しく解説しています。

汗をかいていなくても水分は失われる

水分が体外へ出る経路は、汗や尿だけではありません。

私たちは呼吸や皮膚からも、意識しないうちに水分を失っています。

このような水分損失を不感蒸泄といいます。

不感蒸泄は、室内で静かに過ごしているときや、眠っている間にも続いています。

「汗をかいていないから水分を失っていない」と考えないことが大切です。

詳しくは、不感蒸泄とは?汗をかかなくても失われる水分をご覧ください。

夏は発汗による水分損失にも注意

暑い環境では、体温を調節するために発汗量が増えます。

汗として失われるのは水分だけではありません。

ナトリウムなどの電解質も含まれています。

さらに、高齢者では暑さを感じにくかったり、体温調節機能が変化していたりする場合があります。

室内でも高温多湿になれば熱中症の危険があります。

エアコンなどを適切に使い、室温を確認することも重要です。

汗と水分については、汗の成分はほとんど水?発汗と水分・ミネラルの関係で解説しています。

冬にも脱水は起こる?

脱水というと夏をイメージしやすいですが、水分不足は冬にも起こります。

寒い季節は夏ほど喉の渇きを感じず、飲み物を摂る回数が減ることがあります。

暖房を使った室内では、空気が乾燥することもあります。

さらに、発熱や下痢、嘔吐などがあれば、水分を失う量が増える場合があります。

季節だけで判断せず、その日の体調や環境に合わせて水分補給を考えましょう。

高齢者の脱水ではどんな変化に注意する?

水分不足が進んだときに現れる変化は、人によって異なります。

喉や口の乾燥、尿量の減少、だるさ、めまいなどがみられることがあります。

高齢者では、食欲の低下や元気がないなど、わかりにくい変化として現れる場合もあります。

また、尿の色が濃くなることもありますが、尿の色は食事や薬などにも影響されます。

一つの症状だけで脱水かどうかを判断することはできません。

脱水そのものについては、脱水とは?水分不足で体に起こることと予防の基本で詳しく解説しています。

一度に大量ではなく、生活の中で水分補給を

水分補給は、一度に大量の水を飲めばよいというものではありません。

日常生活の中で、飲み物を摂る機会を作る方法があります。

例えば、起床後、食事のとき、入浴の前後などです。

暑い環境では、喉の渇きを強く感じる前から水分を摂ることも大切です。

本人が飲水を忘れやすい場合には、家族や周囲の人が声をかける方法もあります。

水分補給の基本については、水分補給はいつ・どのくらい?1日に必要な水分量と飲むタイミングをご覧ください。

大量に汗をかいたときは電解質も考える

大量の発汗では、水分とともにナトリウムなどの電解質も失われます。

そのため、高温環境や長時間の運動などでは、水分だけでなく状況に応じた塩分補給も重要になります。

ただし、高齢者の中には高血圧、心臓病、腎臓病などで塩分や水分について指示を受けている方もいます。

その場合は、一般的な水分補給の情報よりも医師などから受けている指示を優先してください。

水分と電解質については、電解質とは?水分補給とナトリウム・カリウムの関係で詳しく解説しています。

高齢者の水分補給は「喉の渇きだけ」に頼らない

高齢者では、体に占める水分の割合や喉の渇きの感じ方、水分調節機能などに加齢による変化がみられます。

さらに、食事量の低下、発汗、発熱、下痢、嘔吐などが重なれば、水分不足のリスクは高まります。

「喉が渇いていないから大丈夫」と考えるのではなく、食事や飲水、尿、体調、気温などを含めて考えることが大切です。

日々の暮らしの中で無理なく水分を摂る習慣を作り、特に暑い日や体調不良時にはいつも以上に注意しましょう。

※本記事は、高齢者の脱水と水分補給に関する一般的な情報の提供を目的としています。意識状態の変化、強い倦怠感、水分を摂れない状態などがある場合は、速やかに医療機関へご相談ください。水分や塩分の摂取について医師から指示を受けている場合は、その指示に従ってください。


左 35歳 右 50歳

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