災害と水辞典
いざという時に生命を守る水の知識。

重力式浄水器とは?電気を使わない仕組みとメリット・注意点

浄水器というと、蛇口に取り付けるタイプや水道管に接続するタイプを思い浮かべる方が多いかもしれません。

一方、水道の水圧や電動ポンプを使わず、水が上から下へ移動する力を利用してろ過する「重力式浄水器」もあります。

電気を使わない製品もあり、日常の飲料水だけでなく、停電や断水を想定した水の備えとして検討されることがあります。

今回は、重力式浄水器とはどのようなものなのか、その仕組みやメリット、選ぶときに確認したいポイントについてわかりやすく解説します。

重力式浄水器とは?

重力式浄水器とは、タンクなどに入れた水が重力によって下へ移動する際に、フィルターを通過させてろ過する方式の浄水器です。

一般的には、上部に原水を入れるタンクがあり、その下にフィルター、さらにろ過された水を受けるタンクなどを配置した構造があります。

水を上の容器に入れると、重力によって少しずつフィルターを通り、下部へ移動します。

製品によって構造やろ材は異なりますが、電動ポンプを使わずにろ過できるタイプがあることが特徴です。

重力式浄水器はなぜ電気がいらないの?

水をフィルターに通すためには、何らかの力が必要です。

水道直結型の浄水器では水道の圧力を利用し、製品によっては電動ポンプを使って水を送ります。

一方、重力式では、上部に入れた水が下へ移動する重力そのものを利用してろ過します。

そのため、電動ポンプなどを使用しない構造であれば、コンセントにつなぐ必要がありません。

水道に接続しないタイプもある

重力式浄水器には、水道管や蛇口に接続せず、タンクへ自分で水を入れて使用するタイプがあります。

このような方式であれば、水道工事を必要とせず、設置場所を選びやすいという特徴があります。

また、水道から直接水を供給する仕組みではないため、断水時でも使用可能な原水を別に確保できれば、製品の仕様に従ってろ過できる場合があります。

重力式浄水器のメリット

重力式浄水器には、製品によって次のような特徴があります。

  • 電気を使用しないタイプがある
  • 水道工事が不要なタイプがある
  • 水道に直接接続しなくても使用できるタイプがある
  • 設置場所を比較的選びやすい
  • 普段の飲料水用として使用できる製品がある
  • 停電や断水時の水対策として利用できる場合がある

特に、電気や水道への依存を抑えられる構造は、災害への備えを考えるうえで一つの特徴になります。

重力式浄水器にはどんなフィルターが使われる?

重力式浄水器に使用されるフィルターやろ材は、製品によって異なります。

たとえば、活性炭やセラミックなどを使用した製品があります。

活性炭は特定の物質を吸着する性質を利用し、セラミックは細かな孔を持つ構造を利用してろ過するなど、それぞれ異なる特徴があります。

また、複数のろ材を組み合わせている製品もあります。

使用している素材だけで性能を判断するのではなく、実際にどのような物質について除去・低減性能が確認されているかを見ることが重要です。

重力式はろ過に時間がかかることがある

重力式浄水器は、水道の高い圧力や電動ポンプを使わずに水をフィルターへ通すため、製品によってはろ過速度がゆっくりです。

必要になってから水を入れるのではなく、普段からろ過にかかる時間を把握しておくと使いやすくなります。

家族で使用する場合は、1日に必要な飲料水や調理用水を考え、十分な量をろ過できる処理能力があるかも確認しましょう。

フィルターによって除去性能は異なる

同じ重力式浄水器でも、すべての製品が同じ浄水性能を持っているわけではありません。

フィルターの素材、構造、ろ材の量、ろ過速度などによって性能は異なります。

製品を選ぶ際は、「重力式」という方式だけで判断せず、

  • 除去対象物質
  • 性能試験
  • 試験方法や条件
  • 総ろ過水量
  • フィルター交換の目安

などを確認しましょう。

どんな水でも飲料水にできるわけではない

重力式浄水器であっても、川の水、雨水、井戸水など、どのような水でも安全な飲料水にできるわけではありません。

使用できる原水は製品によって異なります。

特に災害後の水源には、微生物だけでなく、泥、有機物、化学物質などが含まれる可能性があります。

製品が想定している原水と除去性能を確認し、仕様の範囲内で使用することが重要です。

フィルターの交換とお手入れが必要

重力式浄水器も、設置すれば永久に同じ性能で使用できるわけではありません。

フィルターには使用できる水量や交換時期の目安があり、製品によってはタンクや部品のお手入れも必要です。

長期間使用しない場合の保管方法についても、製品の取扱説明書を確認しましょう。

特に防災用品として考える場合は、災害時に初めて使うのではなく、平常時から使用方法やメンテナンス方法を把握しておくと安心です。

重力式浄水器は災害時にも使える?

電気を使用せず、水道への接続も必要としない重力式浄水器であれば、停電や断水時にも使用できる可能性があります。

ただし、浄水器そのものがあっても、原水がなければ水をつくることはできません。

また、確保した水がその製品で処理できる水なのかを確認する必要があります。

災害対策では、浄水器だけに頼るのではなく、保存水やペットボトル水の備蓄、応急給水などと組み合わせて準備しましょう。

重力式浄水器を選ぶときのチェックポイント

重力式浄水器を選ぶ場合は、次のようなポイントを確認しましょう。

  • 電気を使用するか
  • 水道への接続が必要か
  • 使用できる原水は何か
  • 除去対象物質は何か
  • 性能試験が行われているか
  • 1日に必要な水量をろ過できるか
  • 総ろ過水量はどのくらいか
  • フィルター交換の頻度や費用
  • 本体のお手入れ方法

日常用として使用するのか、防災への備えも兼ねるのかによって、重視するポイントも変わります。

日常の浄水と災害への備えを一つにする選択肢

災害時のためだけに浄水器を購入して長期間保管していると、いざというときに使い方がわからなかったり、フィルターの状態を確認できなかったりすることがあります。

日常的に使用できる重力式浄水器であれば、普段から操作やメンテナンスに慣れながら、災害時の水対策にも備えることができます。

保存水を備蓄することに加えて、平常時にも使える浄水手段を準備しておくという考え方もあります。

災害時の飲料水対策は、「水を保管する備え」と「水を確保する備え」を組み合わせて考えておきましょう。

※本記事は重力式浄水器に関する一般的な情報の提供を目的としています。浄水性能、使用できる原水、処理能力、フィルター交換時期などは製品によって異なります。購入・使用の際は、各製品の性能表示、試験結果、取扱説明書をご確認ください。



左 35歳 右 50歳

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